この記事では、出生後休業支援給付金の制度の概要から申請の流れ、実際の支給額までをわかりやすく解説していますが、育児休業給付金とセットで理解するとより全体像がつかみやすくなります。
育児休業給付金についても詳しく知りたい方は、関連ページもあわせてご覧ください。
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出生後休業支援給付金とは?
制度の概要
出生後休業支援給付金とは、2025年(令和7年)4月に新設された制度で、主に男性の育休取得を促すことを目的としています。厚生労働省のアンケートによると、男性が育休を取得しなかった理由として「収入を減らしたくなかったから」が非常に高い割合を占めており、この制度では休業中の所得補償を手厚くすることで、育休取得のハードルを下げる狙いがあります。従来の育児休業給付金に加えて上乗せ支給され、手取りの100%に近づける仕組みとなっています。(育児休業給付金と出生後休業支援給付金を合わせて手取りの約80%ですが、育休中は社会保険料が免除になるため実質手取りの100%相当となる)
育休中にもらえるお金について
出生後休業支援給付金について掘り下げていく前に、前提として産休・育休中にもらえるお金は以下の3つあります。
出産育児一時金
出産時に約50万円が、加入している健康保険(協会けんぽ・健康保険組合・国民健康保険など)から支給される一時金です。
出産手当金
産休中の収入を補償するために、加入している健康保険から支給される給付金です。産前6週+産後8週までの期間、給料の約3分の2が支給される。(※国民健康保険の加入者には出産手当金は出ません。)
育児休業給付金(👈ここに上乗せ)
育休中の生活を支えるために、雇用保険から支給される給付金です。育休開始〜180日目まで給料の67%、181日目以降は給料の50%が支給されます。
新設された背景
男性の育児休業取得の推進

(出典:nippon.com「男性の育休取得率3割超に急上昇―雇用均等基本調査 : 期間は女性と大きな格差」)
2023年度に男性の育児休業取得率は約30%まで上昇してはいるものの、女性と比べると依然として50ポイント以上の開きがあります。
また、育児休業を取得していても、取得日数が短いケースが多いため、さらに男性が育児休業を取得しやすくし、実質的な育児参加につなげることを目指しています。
妻の産後ケア・育児負担軽減
出産直後の女性の体は、交通事故で全治1〜2ヶ月の大怪我を負った状態に近いと言われています。さらに、産後2週間〜1ヶ月が最も産後うつが起こりやすい時期です。
そのため、育児だけでなく妻の心身のケアも育児休業を取得した夫の重要な役割になります。
少子化対策の一環

(出典:東京新聞「男性の育児分担で出生率低下を食い止められる? 日本は欧米の半分以下 米ハーバード大教授が比較研究」)
育児休業の取得率が高い国ほど出生率も高いという傾向が実証されています。男性の育休取得が進むことで、家事・育児の負担が分散し、家族の精神的・経済的な不安を減少させることができます。
実際に出生率が1.6以上のスウェーデンや米国は、家事・育児の男性の分担割合がいずれも日本の2倍以上となっています。
このような家庭・社会の変化が、長期的な少子化対策の重要なカギになります。
対象となる条件と支給期間について
対象となる条件
出生後休業支援給付金を受け取るには、パパ・ママそれぞれに条件があります。
パパの条件
子どもが生まれてから8週間以内に、14日以上の育休(産後パパ育休または育児休業)を取得していること。
ママの条件
産後休業が終わったあと、8週間以内に14日以上の育休を取得していること。
パパとママの両方がこの条件を満たしていれば、夫婦それぞれに出生後休業支援給付金が支給されます。ただし、次のような一定の要件を満たしている場合には、本人だけが条件を満たしていれば受け取れるケースもあります。

(出典:厚生労働省「育児休業給付金について」)
支給期間
下の図で濃いピンク色の部分が、出生後休業支援給付金が支給される期間(手取りの約100%相当)を示しています。
この制度では、パパ・ママそれぞれの条件の8週間以内に取得した育休のうち、最大28日間が対象となります。

(出典:厚生労働省「育児休業給付金について」)
申請方法と必要書類
申請の流れ
- 育休の取得(子の出生後8週間以内に14日以上)
取得する従業員は、育休の手続きのタイミングで事前に会社に給付金申請の必要書類を提出します。 - 会社が申請手続きを行う
会社がハローワークに、必要書類をまとめて提出します。育休開始2ヶ月後〜(2ヶ月ごとに)育児休業給付金、出生後休業支援給付金をまとめて申請します。 - ハローワークが審査し、まとめて支給
問題がなければ、2つの給付金が同時に支給されます。支給時期の目安は申請から1〜2か月後になります。
必要書類一覧
出生後休業支援給付金は、育児休業給付金と同じ申請書(育児休業給付金受給資格確認票・出生時育児休業給付金/出生後育児休業給付金支給申請書)でまとめて申請します。
そのため、育児休業給付金の申請とは別に書類を出す必要はありません。
実際の支給までかかった期間と金額
支給されるまでの期間
私の場合、育休を開始してからちょうど120日後に、給付金が振り込まれました。育児休業給付金と出生後休業支援給付金は、職業安定局から同じタイミングで振り込まれます。
支給された金額
出生後休業支援給付金の実際の支給額が25,053円でした。この支給は最大28日間までの給付金ですが、育児休業給付金と合わせると働いている時の手取りより高くなりました😅
無給期間は正直きついですが、支給額自体は国が力を入れているだけあって手厚いと感じました。

👆上が出生後休業支援給付金(28日間)、下が育児休業給付金(育休開始〜2ヶ月分)
⚠️ 出生後休業支援給付金の注意点
- 育休を14日以上取得しないと対象外
分割取得も可能ですが、対象の8週間以内に合計で14日以上になっていないと給付金の対象外となります。 - 子の出生後「8週間以内」に取得した育休のみが対象
それ以降の育休期間は対象外となります。 - 支給は育児休業給付金とまとめて後払い
育休取得後すぐにはもらえず、支給までに育休開始後3〜4か月ほどかかる場合が一般的です。 - 上限額(休業開始時賃金日額の上限額)あり
育休中の賃金が高い場合でも支給額には上限があり、休業開始時賃金日額15,690円までとなります。(2025年時点の上限額)
出生後休業支援給付金の支給上限額(休業28日):15,690円×28日×13%=57,111円
まとめ
- 出生後休業支援給付金とは、主に男性の育休取得を促すことを目的に新設された制度。
- 育児休業給付金に上乗せされる形で、実質手取りの100%相当が支給される(対象期間の最大28日間)
- 新設された背景は主に3つ
- 男性の育児休業取得の推進
- 妻の産後ケア・育児負担軽減
- 少子化対策の一環
- パパ・ママそれぞれに支給の条件があり、いずれも満たしている必要がある(例外はあり)
- 申請は基本的に育児休業給付金と同時に申請できる。
- ⚠️出生後休業支援給付金の注意点は以下の4つ
- 育休を14日以上取得しないと対象外
- 子の出生後「8週間以内」に取得した育休のみが対象
- 支給は育児休業給付金とまとめて後払いされる
- 支給には上限額がある
以上が出生後休業支援給付金についてになります。制度についてしっかり理解して、自分はどれくらいもらえるのかを把握すれば金銭的不安は減らせると思います。それぞれのご家庭の事情がありますが、ぜひ育休を取得して今しかない期間を大切に過ごしてもらえたらなと思います。その後押しになれていたら嬉しいです!
最後まで読んでいただきありがとうございました!
参考記事
厚生労働省『育児休業等給付の内容と 支給申請手続』『2025年4月から「出生後休業支援給付金」「育児時短就業給付金」が始まります』
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