2025年8月より育児休業給付金の支給限度額が改定されました。今回の改定では上限額が引き上げられ、より多くの育休取得者が実際の給与に近い額を受け取れるようになります。本記事では、改定前後の上限額の違い、改定の目的、そして具体的な支給額の例をわかりやすく解説します。
改定の目的
今回の支給限度額引き上げは、物価や賃金水準の上昇を背景に行われました。育児休業給付金は、休業前の賃金に67%または50%を掛けて計算されますが、上限額があるため、賃金が高い人ほど実際の支給額が抑えられてしまっていました。
上限額を引き上げることで、より多くの育休取得者が実際の給与に近い金額を受け取れるようになり、育児休業中の生活費確保や経済的負担の軽減につながることが期待されています。
改定の概要
今回の改定は、2025年8月1日以降に支給される育児休業等給付金に適用されます。支給率自体に変更はありませんが、それぞれに設けられている月あたりの支給限度額が引き上げられました。以下の改定前後の上限額を比較した表をご覧ください。

今回の上限引き上げにより、特に月収が高く、改定前は上限に達していた受給者は、より多くの給付を受けられるようになります。
支給限度額引き上げによる具体例
ここでは、出生時育児休業給付金(産後パパ育休)ではなく、より利用者の多い育児休業給付金を前提に、休業開始前の額面月収が40万円・50万円・60万円の場合を例に見ていきましょう。
※出生時育児休業給付金は、子どもの出生直後に父親が取得できる「産後パパ育休」に対応した給付で、支給率は同じ67%ですが、取得期間が28日間までと短いため、上限額は育児休業給付金とは異なります。

- 額面40万円(手取り約31.5万円)
67%の計算額は約26万8,000円で、上限額に届かないため、改定前後で支給額は変わりません。 - 額面50万円(手取り約39万円)
67%の計算額は約33万5,000円ですが、改定前は上限の約31万5,000円までしか受け取れませんでした。 改定後は上限が約32万4,000円に引き上げられたため、約9,000円の増額となります。 - 額面60万円(手取り約46万円)
67%の計算額は約40万2,000円で、上限を大きく超えています。そのため、額面50万円の場合と同じく約9,000円の増額になります。
このように、支給限度額の引き上げによって、特に額面50万円以上の高収入層では、育児休業中に受け取れる給付が増えます。
一方で、額面40万円(手取り約31.5万円)のように、67%で計算した金額が上限額に達しない場合は、支給額に変化はありません。
注意点&補足
育児休業給付金の「支給限度額」は、もらえる金額の上限です。全員がその金額をもらえるわけではなく、育休取得前の給料から計算し、支給額が決まります。上限より少ない場合は、その金額が支給されます。
また、今回の改定で増額の対象となっている場合、追加の手続きは不要です。育児休業給付金は雇用保険から自動的に計算されるため、改定後は新しい上限額で自動的に再計算されます。
まとめ
2025年8月から、育児休業給付金および関連する給付制度の支給限度額が引き上げられました。
育児休業給付金は、休業前の賃金を基に計算されますが、上限額があるため高い賃金の方ほど実際の支給額が上限で抑えられていました。今回の改定により、その上限額が次のように引き上げられています。
出生時育児休業給付金(支給率67%)
294,344円 → 302,223円
育児休業給付金(〜180日、支給率67%)
315,369円 → 323,811円
育児休業給付金(181日〜、支給率50%)
235,350円 → 241,650円
出生後休業支援給付金(〜28日、支給率13%)
57,111円 → 58,640円
ただし、支給限度額はあくまで「上限」であり、すべての方が満額を受け取れるわけではありません。計算結果が上限額に満たない場合は、その金額が支給されます。
また、今回の改定によって恩恵を受けるのは、これまで上限に達していた比較的高収入の層です。月収の67%や50%が上限額に届かない場合、支給額に変化はありません。
今回の上限額引き上げは、育休取得による収入減を抑え、高収入層にとっても育休を取りやすい環境づくりを進める狙いがあります。制度の仕組みや上限の有無を理解し、どの程度の給付が見込めるか事前に確認しておくことが大切です。
最後まで読んでいただきありがとうございました。この記事が皆様のお役に立てていれば嬉しいです。
参考
▷厚生労働省 (https://www.mhlw.go.jp/content/001520023.pdf)
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